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2014/04/10   
セキュリティ全般   

謎の日本人が発明した仮想通貨「ビットコイン」

インターネットで流通する仮想通貨「ビットコイン」をご存じでしょうか。ビットコインは、「サトシ・ナカモト」と名乗る人物が、2008年に発表した論文をもとにインターネットに誕生しました。ナカモト氏が何者であるか、実在する人物なのかすら、謎に包まれています。なお、最初に発表された論文は、インターネットから誰でも見ることができます。

Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System(https://bitcoin.org/bitcoin.pdf

2009年からビットコインの実運用が開始され、世界で広く普及し、2013年だけで10倍にも価値が膨れ上がり、時価総額が1,130億ドルを超えました。しかし今年2月には、ビットコインの取引所の1つ、東京 渋谷のマウント・ゴックス社が、顧客および自社が保有するビットコインが不正アクセスにより消失したとして破産しました。

マウント・ゴックス社のフランス人の社長、マルク・カルプレス氏が、たどたどしい日本語で謝罪を行う様子は、マスコミでも盛んに報じられましたのでご覧になった方も多いでしょう。

ビットコインがこれだけ普及したのは複数の理由があります。

ビットコインは、お金に関するデータを、暗号を通じて送受信することで決済を行うため、銀行を通す必要がなく、海外送金の手数料などが安く抑えられる利用者側のメリットがあります。また、国家が発行する通貨ではないため、政府による口座凍結や差し押さえ、国の破綻による価値暴落などのリスクもありません。

マウント・ゴックス社の惨状が世界に報じられ、これでビットコインの信用が失墜したかに見えましたが、国際的にはビットコインが利用できる店舗やサービスは増え続けています。たとえばネット通販のAmazonでは、いまもビットコインを使うことができます。

これは、マウント・ゴックス社の事件は、以前から指摘されていた技術的な問題を放置していたなど、おもに管理体制の問題であり、ビットコイン自体の信頼性は変わらないと見られているからです。要は、金庫や警備が甘かったから盗まれたのであって、お金という仕組み自体が危険ではないという考え方です。

ビットコインは、犯罪組織が送金や資金洗浄に利用するなど、課題が山積されています。しかし将来、さまざまな技術・法的な問題点がすべて解決されれば、とりわけ銀行や通常の金融サービスのように、充分なセキュリティが確保されれば、信頼できる新しい通貨となるのかもしれません。

※追記
3月、米Newsweek誌は、カリフォルニア在住のドリアン・サトシ・ナカモト氏が「サトシ・ナカモト」であるとスクープ記事を掲載したが、本人が弁護士を通じて公式に否定しました。
<記事提供元:株式会社イード>