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2016/10/26   
セキュリティ全般   

「第四次産業革命」に向け、経産省が“新時代の制度”を検討開始

経済産業省は9月15日、「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会」が取りまとめた報告書を公表しました。

工業で蒸気機関を使い始めた「第一次産業革命」、電気を使った大量生産による「第二次産業革命」、コンピュータを活用しだした「第三次産業革命」に続き、IoTやAI、ビッグデータの活用が引き起こすのが「第四次産業革命」(インダストリー4.0)です。もともとは、ドイツが2012年より提唱した概念でしたが、日本政府も「日本再興戦略2016」で言及しており、実現への期待が高まりつつあります。

一方で、第四次産業革命においては、個人情報のあり方、企業間の連携、知的財産の保護などで、従来の制度では対応できない事象が発生すると思われます。経済産業省は、第四次産業革命に対応できる、業界横断的な制度を検討するため、2016年1月に研究会を新設。とくに「競争政策」「データ利活用・保護」「知的財産」という3分野について、検討を行ってきました。

この背景には、「Google」「Apple」「Facebook」「Amazon」(略して「GAFA」)という海外の強力なプラットフォーム企業群が、スマートフォンを含むデジタル市場で、強力で支配的な地位を確立している現状があります。たとえば、GAFAのスマホアプリやサービスでは、決済手段を制限したり仮想通貨を禁止したりしています。これは独占禁止法に違反する可能性、競争環境に悪影響を与える可能性などがあり、現状大きな問題を抱えていると言えます。今後の状況次第で厳正な法執行もありえるでしょう。

そのため、第四次産業革命に向けた「競争政策」において、公正な競争を維持できる新制度が必要だと、報告書では考察しています。また「データ利活用・保護」では、プライバシーに配慮しつつデータ流通を促進するため、個人データを預かり事業者に対してデータを提供する“データ流通市場”などが提案されています。「知的財産」では、国内企業が過度にデータを囲い込むのではなく、相互協力しデータの共有・共同利用を進められる環境も重視されています。

新しい制度や仕組みが実現すれば、個人が自分のデータを“財産”として企業に預け、さらに便利なサービスを利用できるようになるでしょう。セキュリティ面でも、システムが整うことで、より安全安心なサービスが期待できます。経産省は今後も意見交換を行い、政策の具体化を進める方針とのことです。
<記事提供元:株式会社イード>