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2016/12/12   
不正な情報持ち出し    サイバー攻撃   

「未成年によるサイバー犯罪」が多発、営利目的と異なる“動機”に注意

「未成年によるサイバー犯罪」が多発、営利目的と異なる“動機”に注意

今年6月、佐賀県の教育情報システムに不正アクセスした容疑で、17歳の少年が逮捕されました。少年はIDやパスワードを不正入手し、中学校・高校の成績情報などにアクセス。数人の仲間と情報交換を行っていました。もともと少年は、有料デジタル放送を不正視聴するプログラムをネット上で公開して、不正競争防止法違反で逮捕されていました。

「未成年によるサイバー犯罪」は過去にもありましたが、この事件は、20万ファイル以上・約1万人分の情報流出と規模が大きかった点、異なる容疑での再逮捕だった点などから、注目を集めました。この事件以降も、「未成年によるサイバー犯罪」の報道が相次いでいます。

11月1日には、和歌山県の16歳の高校生が、他人のパソコンを乗っ取った容疑で逮捕されました。この少年は、ゲームを有利に進める不正プログラム「チートツール」に見せ掛け、遠隔操作ウイルスを配布。ツールを使った男性に、からかうメッセージを送ったことから、乗っ取りが発覚しました。動機について少年は「チートツールを使っている人を懲らしめようと思った」と説明しているとのことです。

11月29日にも同じように、「チートツール」に見せ掛けてウイルスを配布していた、長野県の18歳の高校生が逮捕。この少年も同じような動機から、盗み取ったアカウントを使い、昆虫数百匹を勝手に購入して送りつけるなどの嫌がらせを行っていました。

11月18日には、「運営会社の反応を見たかった」という理由から、オンラインゲームのサーバーに対しDDoS攻撃を行ったとして、大阪府の16歳の高校生が書類送検。また未成年ではありませんが、11月20日には、京都府の20歳の定時制高校生が、興味本位で他人のアカウントを使い、Twitterなどに不正アクセスして書類送検されています。

このように、「未成年によるサイバー犯罪」は、その目的において、「反応を見たかった」という“愉快犯的な動機”、「懲らしめようと思った」という青少年特有の“間違った正義感・万能感などに根ざした動機”が見られます。この点が営利目的中心の一般的なサイバー犯罪と大きく異なります。未成年のインターネット利用については、引き続き、フィルタリングやペアレンタルコントロールなどの対策導入とともに、学校での道徳面の指導など、ネット関連教育のカリキュラムの見直しも重要でしょう。
<記事提供元:株式会社イード>

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