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2016/09/13   
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「違法ではないが、きわめて軽率」、いまだくすぶるヒラリー・クリントン氏の私的メール問題とは

11月8日に予定されている米合衆国大統領選挙。民主党のヒラリー・クリントン候補、共和党のドナルド・トランプ候補の対決となりましたが、失言の多いトランプ氏に対し、着実に信頼を積み上げたクリントン氏が、選挙戦を一歩リードしていると見られています。ただ、いまだくすぶり続けているのが、クリントン氏の「私的メール問題」です。

この問題は、2015年初頭より、すでに話題となっており、ウィキリークスが2016年3月に、3万通を超えるクリントン氏のメールを公開したことで火が付きました。メールは、同氏がオバマ政権の国務長官だった時期のもので、その内容も精査されていますが、最大の問題点は「自宅に設置したメールサーバーで、個人メールアドレスを使っていた」(govではなくclintonemail.comを使っていた)ことです。

米国には「政府の公文書は、国民の所有物・財産である」という考えがあり、その網の目をくぐるような個人メール使用は、問題と見なされます。また米政府は、公式メール使用に関して厳しいセキュリティ管理を行っており、組織による監査、使用記録の保管などを義務づけています。クリントン氏は、人一倍セキュリティに注意すべき立場だったにもかかわらず、ルールを守らず、個人メールを公務に使っていました。このため、「国家安全保障を揺るがす重要な過失」として、同氏は各方面から追及を受けます。

米政府にまつわるメール問題としては、CIA長官だったデビット・ペトレイアス氏が、不倫相手とGmailを使ってやりとりしていたことが発覚し、辞任に追い込まれた事件があります。この事件は、クリントン氏の問題と直接関係はありませんが、政府機関のメール利用のあり方、そのセキュリティ感覚がさまざまに取り沙汰され、米国民に不信感を植え付けた部分もあります。

クリントン氏に対し国務省は調査を実施し、「明確な規則違反だ」とする調査結果を発表。この調査では、クリントン氏以前の国務長官たちも、規則に従っていないメール利用をしていたことが発覚しています。さらに、連邦捜査局(FBI)も調査を実施。クリントン氏の行為に対し「違法ではないが、きわめて軽率」と結論づけました。これをトランプ陣営は現在も問題視し、「大統領にふさわしくない」と攻撃しています。

「会社員が、仕事で個人メールを利用する」というのはありふれたケースですし、日常的に行っている人も多いかと思います。また「クリントン氏は政府の要人で、国家機密だから問題になった」と考える人も多いでしょう。ただ、こうした行為は、一歩間違えれば重大な過失や情報漏洩につながることは、常に意識しておかなければなりません。個人アドレスや個人PCの業務利用は、最小限に留め、どうしても必要ならそれにふさわしいセキュリティ環境を整備すべきでしょう。
<記事提供元:株式会社イード>

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