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2017/02/20   
サイバー攻撃    セキュリティ全般   

2016年「セキュリティ十大ニュース」、1位は“IoT機器によるサイバー攻撃”

2016年「セキュリティ十大ニュース」、1位は“IoT機器によるサイバー攻撃”

サイバー攻撃、情報漏洩、サイト改ざん、不正プログラムの流行など、2016年もさまざまなサイバー脅威が発生しました。NPO日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)では、毎年「セキュリティ十大ニュース」を発表していますが、昨年末の12月26日に、2016年の「セキュリティ十大ニュース」を発表しました。

それによると、2016年「セキュリティ十大ニュース」は、下記のランキングとなりました。10名以上のセキュリティのプロが、投票制で選定した内容とのことです。

1位 IoT機器による史上最大規模のDDoS攻撃の実態があきらかに
2位 IPAから「ランサムウェア感染を狙った攻撃に注意」と注意喚起
3位 政府機関から「ポケモンGO」の利用者向けに注意喚起
4位 人工知能が囲碁の世界トップ棋士に完勝
5位 IPA新設国家資格「情報処理安全確保支援士」の初回申請受付を開始
6位 防衛省と自衛隊の情報基盤へのサイバー攻撃
7位 アメリカ大統領選挙はドナルド・トランプ氏が勝利
8位 佐賀県教育委員会は不正アクセス被害を公表
9位 JTBグループのWebサイトから大量の個人情報流出か
10位 EU、一般データ保護規制(EUプライバシー規制)正式に採択
番外 東宝映画「シン・ゴジラ」公開(「危機管理の映画」として評価されランクイン)

1位となったのは、昨年秋に「IoT機器によるサイバー攻撃」として、大きく注目を集めた事件でした。この事件では、米国のセキュリティ情報サイト「Krebs on Security」、フランスのISP「OVH」、米国のDNSサービス「Dyn」などが、史上最大規模のDDoS攻撃(分散型サービス運用妨害)を受けました。そして調査の結果、これらの攻撃が、マルウェア「Mirai」(ミライ)に寄るものであることが判明しました。Miraiは、家庭用ルーター、防犯カメラ、デジタルビデオレコーダなど、いわゆる「IoT機器」に感染し、ボットネットを構築し、大規模攻撃を行うマルウェアです。

IoT機器のセキュリティは、その対策もまだまだ不十分で危機意識も高くありません。Miraiでも、初期設定のパスワードのまま使用していた機器が、数多く乗っ取られたことがわかっています。

そのためランキングの選考委員は、「IoTデバイスのセキュリティが今や現実の問題となったことを示している」と本件を分析し、「情報セキュリティを確保するIoTセキュリティ技術やIoTセキュリティアーキテクチャを開発することが、我々の喫緊の課題」と指摘しています。今後は、パソコンやスマートフォンなどと同様に、IoT機器についても、セキュリティ意識が高まっていくことでしょう。
<記事提供元:株式会社イード>