フィルタリングニュースウォッチ

2015/07/08    ネットリスク   

知っていますか?世代でこんなに違う「ネットいじめ」への反応

当社では全国の学校にお伺いして、生徒・保護者・教職員のみなさまにインターネットの安全に関しての講演をさせていただいていますが、今起きているインターネットの被害を具体的に解説する教材として、『スマホにひそむ危険 疑似体験アプリ』を使っています。ネットいじめに関する解説をご要望いただくことも多いので、そのような場合には『スマホにひそむ危険 疑似体験アプリ』に収録されている「ネットいじめ」のシナリオを使うのですが、最近、興味深い傾向が見られることに気付きました。

「ネットいじめ」のシナリオでは、無料メッセージアプリのグループチャットの中で自慢話や余計なお世話と受け取られる発言をしてしまったひとりの子が周りから無視されて最後には仲間外れにされてしまうのですが、そのシナリオの中には以下の3つのグループが登場します。

  • 【グループ1】 自慢話や余計なお世話と受け取られる発言をした結果、無視されてしまったA子
  • 【グループ2】 A子がウザいと感じて、A子を無視し始めたB子とC子
  • 【グループ3】 B子とC子によるいじめを止めずに、逆にいじめの仲間に加わったD子とE子

私は「ネットいじめ」のシナリオをひと通り紹介した後に、「登場人物にはそれぞれ問題があったと思いますが、しいて言えば誰が1番悪いと思いますか?」と質問します。

この質問に対して、保護者や教職員といった大人は、全国どこでも「最初にいじめを始めた【グループ2】が一番悪い」と答える人が一番多くなる傾向があります。保護者世代である私自身も自分が質問されたら同じように答えると思いますし、A子が良くない発言をしていたとしても、「無視をする」「仲間外れにする」といった方法以外に解決策があるのではないかと考えます。

しかし、子どもたちは違います。
中学生にこの話をすることが多いのですが、全国どこでも中学生は「相手の気持ちを考えずに独りよがりの発言をしていた【グループ1】のA子が悪い」と答える子が圧倒的に多いのです。当然、A子の発言にも問題はありますし、日々、友達同士の濃密なコミュニケーションの真っただ中に居る子どもたちにとっては、A子のような「空気を読めない子」が非難の対象になることは理解できなくもありません。

しかしながら、この考えが行き過ぎると「問題のある発言をした子はいじめてもいい」と子どもたちが考えてしまうのではないかと、一抹の不安を感じます。また、もしかしたら、「インターネットでは相手の気持ちを考えて発言しよう」と教育してきた我々大人の言葉を素直に受け取った子どもたちが、「相手の気持ちを考えないで発言した奴は悪い」という受け止め方をしてしまっているのかもしれないとも感じました。

こういった子どもたちの反応を見ると、我々大人たちがもう一歩踏み込んで、単に「インターネットでは相手の気持ちを考えて発言しよう」と伝えるだけではなく、「もしも、相手の気持ちを考えていないメッセージを受け取ったらどうするか」ということまで子どもと話し合うことが、ネットいじめの解決に繋がるのではないかと思います。

なお、当社のフィルタリングサービス「i-フィルター」では、無料メッセージアプリやSNSなどのコミュニケーションサービスは、「小学生」「中学生」の初期設定では「利用不可」となっています。(※1)
これは、コミュニケーション能力が未熟な時期にいきなりインターネットのコミュニケーションサービスを使わせるのではなく、まずは親子でそのサービスのメリットやリスクについて話し合っていただき、それらを子ども自身が認識してから保護者が許可をして使わせて欲しいという考えからです。

フィルタリングだけでネットいじめを無くすことはできませんが、子どもたちがインターネットのコミュニケーションサービスを使う前に親子で話し合うというきっかけをフィルタリングが提供することで、少しでもネットいじめの予防に繋がればと思っています。
<政策担当 チーフエバンジェリスト:工藤>

  • (※1)無料メッセージアプリを利用不可にできるのは「i-フィルター for Android」および「i-フィルター for マルチデバイス」をAndroid端末にてご利用の場合に限ります。「i-フィルター for iOS」では無料メッセージアプリを含めたすべてのアプリの制限ができません。

コミュニケーションサービスの利用制限には「i-フィルター for Android」をおすすめします。

有害サイトフィルタリングソフト「i-フィルター for Android」

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    どなたでも自由にご利用いただけますので、ネットリテラシー教育の授業や勉強会でご活用ください。
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