「創造性教育」「起業家教育」の学習効果を高めるための道具としてiPadを全面採用
大正15年の設立以来、一貫して「女性が自ら望む人生を手に入れるため」「一度きりの人生を自分らしく生きるため」という教育理念を掲げ、今日に至るまで43,000人の卒業生を世に送り出してきた瀧野川女子学園中学高等学校。この理念を具現化すべく「創造性教育」や「起業家教育」など、先進的でユニークな教育プログラムをベースにした中高一貫教育で知られる同校ですが、同時にICT教育にも非常に力を入れています。
2010年にはアップル製のデスクトップPCとノートPCを全面的に導入し、教育現場でICTをより広範に活用する取り組みを加速させてきました。同校 理事 副校長 山口龍介氏によれば、これもすべて同校の教育理念を実現するための施策だといいます。
「実社会では、今やICTのスキルは必須です。よって、将来社会で活躍するための実践的な能力を磨く創造性教育や起業家教育の場においても、ICTの活用は当たり前のことだといえます。そのため弊校では、中学1年生から高校2年生まで『情報』の科目を必修としており、生徒たちがICTのさまざまなスキルやリテラシーを身に付けられるようにしています」
同時に、ICTを使った学習効果をより高めるためには、道具の選び方も重要なポイントだと同氏は指摘します。
「生徒たちが自身の感性をよりストレートに表現したり、周囲と共有するためには、伝えたいことや共有したいことをよりスムーズに形 にできるツールが望ましい。その点、アップルの製品は直感的なユーザーインタフェースを備えており、子どもたちでも特別なトレーニングなしですぐ使いこなせるようになります。そこで5年前にiMacとMacBook Proを全面導入し、さまざまな授業で活用してきました」
この狙いは功を奏し、生徒たちはあっという間にiMacやMacBook Proに馴染み、やがては教員が思いもつかないような高度かつ斬新な活用法を始めていたといいます。そこで同校では、こうしたICT教育の効果をさらに高めるべく、2015年度から中学1年生から高校1年生までの全生徒に、iPadを1台ずつ配布することにしました。
生徒たちをインターネットの危険から守るために
「i-FILTER ブラウザー&クラウド」を導入
生徒たちが自分専用のiPadを占有できるようになったことで、ICTを使った学習効果はさらに上がったと山口氏は言います。
「弊校で現在取り組みを強化している校外学習の場においては、ノートPCより携帯性に優れ、取り出してすぐ使えるタブレットは極めて適しています。それに、ノートPCを生徒全員に支給するのはかなり難しいですが、タブレットなら十分可能です」
このiPad全面導入と同じタイミングで、同校は米グーグルが提供するクラウド型アプリケーションサービス「Google Apps for Education」を導入しました。これにiPadがもともと備えるKeynoteやiMovieといったアプリ群、さらにAdobe製の動画・画像編集ツールを組み合わせることで、「教育支援に特化したアプリケーションを導入せずとも、ほぼすべてのことができます。しかも、場所を問わずアプリケーションを利用でき、情報を広く共有できる点が素晴らしいですね」(山口氏)。
山口氏は、生徒が「自分のiPadだ」という意識を持つことで、より自由に使いこなせるようになり、そのポテンシャルをフルに発揮できるようになるといいます。従ってその使い方にも極力制限を設けず、学習以外の目的でもどんどん使うことを推奨しています。
しかしそれでも、「最低限のルール」は設けています。その1つが、TwitterやFacebook、LINEといったSNSアプリのインストールを禁じていること。また中学生に関しては、新規アプリのインストールにも制限を加えています。加えて、生徒を危険なWeb サイトやWebサービスの脅威から守るために、デジタルアーツが開発・提供するWebフィルタリングおよびセキュアブラウザー製品「i-FILTER ブラウザー&クラウド」を導入しました。
「i-FILTER ブラウザー&クラウド」は、国内シェアNo.1を誇るWeb フィルタリング製品のデファクトスタンダード「i-FILTER」の高度かつ使いやすいフィルタリング機能をクラウドサービスとして提供するとともに、ユーザーの閲覧先を管理者が遠隔から制御できる独自のセキュアブラウザーの機能を提供します。これらの仕組みを導入することで、生徒が校内にいようと、あるいは校外にいようと、それと知らずにiPadから危険なサイトやサービスへアクセスを試みても、確実にブロックしてくれるわけです。
効果的なICT 教育の実現には生徒と教師の間の信頼関係が不可欠
こうして同校は、iPadの全面導入と同時に「i-FILTER ブラウザー&クラウド」を使ったWebフィルタリングの仕組みを構築したことで、子どもたちを危険からしっかり守りつつ、同時にICT の可能性について自由に学んでもらえる環境を実現しました。その意義について、山口氏は次のように述べます。
「女子生徒を犯罪等の危険から守ることはもちろんですが、近年ではテロ組織やカルト組織の標的になることも増えてきています。彼らは極めて巧妙な手口を使って、一見するとまったく普通のサイトやサービスを隠れ蓑にしてアプローチしてきます。われわれ大人ですら騙されてしまうのに、感化されやすい年頃の生徒たちにとってはなおさら危険です。こうした脅威から生徒たちを守るには、Webフィルタリングの仕組みを使ってそうしたサイトをしっかりブロックしておくことが重要です。また、もし万が一何らかのインシデントが発生した際には、迅速な初動対応が大事ですが、その点『i-FILTER ブラウザー&クラウド』はログ機能が充実しており、証跡を簡単に追跡できるので安心感が高いですね」
現在同校では、中学校の全生徒約60名と、高校1年生の全生徒が自分専用のiPadを日々さまざまな用途で活用していますが、今のところセキュリティ上の問題が発生したことはないといいます。安全にiPadを運用できている理由について、山口氏は「i-FILTER ブラウザー&クラウド」をはじめとしたセキュリティ対策に加え、生徒指導の重要さを説きます。
「性悪説に立ってがんじがらめに管理してしまうと、ICT教育の良さが完全に消えてしまいます。従って、生徒をしっかり信頼して常識の範囲内で自由に使ってもらった上で、何かあった際の最低限のリスク管理だけはしっかり行っておくというやり方がベストなのではないかと考えています。その点、弊校は生徒指導が非常に安定していて、生徒と教師の間の信頼関係が強固なので、iPadのこうした運用もうまく行っているのだと思います」
なお同校では、今後もICTを使った新たな教育施策を取り込んでいく予定だといいます。その際には、デジタルアーツの製品はもちろんのこと、ベンダーとしての提案力にも大きな期待を寄せていると山口氏は述べます。
「教育のICT化という点においては、日本より欧米の方が進んでいます。そうした海外の動向の中から有用な情報がもしあれば、ぜひ提案いただきたいですね。どうしても私たちは教育そのものの研究にある程度集中せざるを得ませんから、ICTの部分は安心してすっかりお任せできるような、そんな支援をいただければと期待しています」
瀧野川女子学園の「創造性教育」と「起業家教育」
中学1年から高校2年までの5年間かけて行う「創造性教育」では、さまざまな体験を通じて生徒が自身の中にある興味や可能性を引き出し、形にして表現することで、将来のキャリアビジョンを発見するための手助けをします。またもう1つの独自の教育プログラム「起業家教育」では、自身の興味を将来のキャリアに結びつけるために、企業とのコラボレーションや実習を通じて、アイデアを事業化するためのスキルを学んでいきます。こうした独自の教育プログラムをより円滑に進め、その効果を高めるための道具として、iPadをはじめとした各種ICTツールがフル活用されています。