保護者の意見を取り入れ、
先進的なICT活用を行う柏市

柏市は昭和62年、田中北小学校において47台のコンピュータを導入しました。これは、当時としては極めて先進的な取り組みで、全国でもいち早く教育現場でのICT活用に踏み出した自治体のひとつです。また、GIGAスクール構想以前から、教員に1人1台の校務・学習兼用端末を整備し、統合型校務支援システムを導入するなど、ICTを活用した環境を着実に作り上げてきました。
情報セキュリティ対策について、柏市教育委員会 教育研究専門アドバイザー 西田光昭氏は「学校でインターネットが使われ始めた1990年代後半頃から、柏市ではコンピュータでのフィルタリング利用は当たり前の環境でした」と先見性のある取り組みを振り返ります。
「i-FILTER@Cloud GIGAスクール版」では、きめ細かい設定や利用時間制限機能を主に活用することで、有害情報サイトの閲覧や、長時間利用を予防し、児童・生徒の安心・安全なICT環境を実現しています。
学校教育部 指導課 主査 湯浅秀俊氏は、「他社製品ではDNSフィルタリングが多い中で、「i-FILTER@Cloud」はURLごとのきめ細かな設定ができます。そのため、児童・生徒が教育上ふさわしくない有害情報に触れないよう、確かで安全な学習環境を整えることができています。また保護者からのお声が非常に多かった持ち帰り学習時の深夜利用を防ぎ、学習リズムの安定につながっています。結果として児童・生徒がより授業に集中できるようになりました。」と述べます。
3OSにも柔軟に対応
「i-FILTER@Cloud」を約37,000台に導入

教育研究専門アドバイザー
西田 光昭 氏
GIGAスクール開始後は、ファイアウォールの構築に加え、それぞれの端末にもセキュリティ製品の導入が必要であったことから、デジタルアーツのWebセキュリティ製品「i-FILTER@Cloud GIGAスクール版」を採用しました。GIGAスクール端末の児童・生徒用を33,000台、教員用を2,000台、教職員用の校務端末を2,300台整備しています。
「i-FILTER@Cloud GIGAスクール版」は、有害情報や学習に無関係なWebサイトの閲覧をブロックするWebフィルタリングに加え、ネットいじめに発展する発言を防ぎ、児童・生徒のSOSを察知する機能や、端末の長時間利用を防ぐ機能など、重大事故防止や学習に役立つ機能が多層的に備わったソリューションです。
柏市では、小学校1・2年生には直感的な操作が可能なiPad、小学校3年生から中学校3年生には、セキュリティ対策やクラウド活用を考慮したChromebook、校務端末ではWindowsと、3OSが混在した活用をしています。
2021年のGIGAスクール開始当初、柏市は予算の関係でコストパフォーマンス重視の別製品を活用していましたが、2023年4月以降に「i-FILTER@Cloud」への乗り換えを決めました。また、以前「i-FILTER」オンプレミス版を校務端末で利用していたこともあり、導入がスムーズだったといいます。
スムーズな製品移行とOSごとに最適化された設計が必須
柏市では、西田氏に加え、システム設計および構築を担当した内田洋行のSEとウチダ人材開発センタのICT支援員を含む計5名体制で、端末の管理・運用を行っています。フィルタリングのルール設定は、小学生のiPad、小学生のChromebook、中学生のChromebook、校務のWindowsと、年代や端末の種類によって使い分けています。
そのほか、実際に利用している機能は、Webサービス制御や利用状況可視化機能です。
外部ストレージへの柏市側のデータアップロードは制限しつつも、外部からの受け取りは許可するなど、用途に応じてサービスの利用レベルを設定しています。また、生成AIやSNSは年齢によって活用の有無を決めています。
内田洋行の月岡玲奈氏は「『i-FILTER@Cloud』の導入にあたり、既存の端末環境を活かしつつ、従来利用していた他社製品からのスムーズな移行が求められていました。さらに、柏市では3種のOSを並行運用していることから、それぞれの端末環境に最適化された設計が必要でした。設計から導入・現地対応、人材面など一貫して支援することで、現場負荷を最小限に抑え、スムーズな移行を実現しました。今後も、柏市のICT環境における整備を技術面・運用面の両側から支えていきます」といいます。
購入時には無かった「利用状況可視化機能」を活用
定期的な機能拡充も魅力
管理画面の使用感について、湯浅氏は「UIもわかりやすく、学校からのフィルタリング解除申請にも即時対応ができています」と述べており、導入当時想定していなかったプラスの影響については、「『利用状況の可視化機能』が追加され、多様な利用状況の把握が可能になったことです。この部分はGIGAスクール構想第2期で政府から求められる必須条件なので、追加のコストを掛けずに対応できることはありがたいです。今後はこの機能を活用し、把握・分析を強化することで、児童・生徒の利用傾向を捉えた指導を行っていきたいです」と話します。
柏市は、令和6年度に学校教育の情報化に係る教育分野全般に関する施策の方向性を定めた「柏市学校教育情報化推進計画」を策定し、柏市の子供たちが生涯に渡って学び続ける力を身に付けられるよう、学校教育の情報化を引き続き推進します。令和7年度中には、GIGAスクール端末の更新が予定されているため、環境整備についても進めていくとのことです。
- ※本導入事例は2025年7月時点の内容です。