市民、職員双方のリスクを回避するため、平成14年よりコンテンツフィルターを導入
福島県の東南端に位置するいわき市は、関東経済圏に近い立地条件を生かした東北有数の産業都市です。東北地方第1位の工業製品出荷額を誇る製造業を中心に、水産業、農林業、さらには約60kmに及ぶ海岸線に点在する10カ所の海水浴場や「いわき湯本温泉郷」を中心とした観光サービス業など、多様な産業を展開しています。そんな同市で、市民の生活を守り続けているのがいわき駅にほど近いいわき市役所です。人口は東北地方第2位、面積も広大な中核市を、本庁および12の支所で支えています。 いわき市役所が、コンテンツフィルターを導入したのは平成14年のことで、公共施設に設置した市民開放型パソコン、職員が使用するパソコンへの導入を決めたそうです。その背景には、市役所の方々のこんな思いがありました。同市のネットワーク管理を行なう総務部・情報政策課管理係の佐野広知さんは、導入の経緯について語ります。「インターネットは効率的に有効な情報のやりとりを実施できる反面、個人情報の漏洩などの危険もあるので、セキュリティ対策を実施する必要があります。それでウイルス対策と併せて、まず、市民の方々を有害サイトから守るため、開放型パソコンに規制をかけることにしました。また、規制の必要性は、職員が使用するパソコンについても同様でした。市では職員が公務に必要のないサイトを見ることを内規で禁止していますが、誤って悪意のあるサイトに接続したり、掲示板などに書き込みをしたりしないように、技術的にも制限をかけることになりました。市には行政情報や市民の個人情報を守秘する義務がありますから当然だと思います」 その一方で、コンテンツフィルター導入の副次的効果もあったそうです。「市民の方から職員のインターネットの適切な利用への疑問があったとしても、『不要なサイトにはきちんとフィルターをかけています』という説明材料になるということがわかりました」
インターネット利用が増えるにつれ、ログ集計が困難に
従来のコンテンツフィルターから乗り換えを検討
導入時は他社のコンテンツフィルターを使用していましたが、インターネットの利用頻度が上がるにつれ、問題が生じるようになりました。最大の難点は、ログの集計。佐野さんと同じく情報政策課に所属する川俣圭司さんは、当時をこのように振り返ります。「平成18年あたりからログが膨大になり、集計が困難になってきたんです。レポートの確認にも時間がかかるため、効率化を図る必要があると感じるようになりました」。そこでいわき市役所では、他の製品への乗換えを検討。情報セキュリティ対策に関する製品を集めた大規模展示会にも足を運び、様々なソフトを比較したそうです。「各ソフトの運用画面を見せてもらい、操作方法も教わりました。でも、導入後の対応などサポート面での対応に不安があったんです。そんな中、ネットワーク運用を支援していただいている企業のSEさんから『i-FILTER』の話をうかがい、興味を惹かれました」(川俣さん)
「i-FILTER」ならログ集計の時間も短縮、東北営業所があるためサポート面も安心
数々の製品を比較検討し、その中から「i-FILTER」を選んだいわき市役所。導入の決め手は、どこにあったのでしょうか。川俣さんは、本製品ならではのメリットを3つ挙げてくださいました。まずひとつめは、デジタルアーツのサポート体制です。「個別対応によりテスト運用もできたので、地場業者のSEさんとの連携もスムーズにとれ不安なく導入に踏み切れました。それに、デジタルアーツは仙台に東北営業所があります。東京本社しかない他社と比べ、サポート面で心強さを感じました」 ふたつめはレポート集計機能でした。そもそも乗り換えのきっかけにもなった点だけに、同市役所ではこの機能を大いに重視したそうです。「以前の製品でネックとなっていたログ集計が、ほんの数分に短縮できました。こちらが見たいデータもすぐに確認でき、満足しています」
そして最後はコスト面。「機能的にも十分なうえ、結果的にコストダウンにもつながりました」 テスト運用を経て、「i-FILTER」の優位性は次々に明らかになりました。しかも以前使用していたソフトから「i-FILTER」への切り替えも、意外なほどスムーズだったと言います。「担当SEさんの支援もあり、切り替えに要したのは10分か15分程度。驚くほど短時間でシフトできました。数件だけ職員から問い合わせがありましたが、その後もトラブルなく運用できています」(川俣さん)
多岐にわたる市役所の職務100近くのグルーピングできめ細かくブロッキング
導入後は、多岐に渡る市役所の業務に応じ、柔軟なフィルタリング設定を行なったそうです。「一般企業なら禁止するカテゴリでも、課によっては閲覧が必要な場合もあります。例えばいわき市では競輪事業を運営していますし、インターネット公売も行っています。一概に『ギャンブルに関するサイトは閲覧してはならない』『オークションサイトは見てはいけない』と言えないのです」(佐野さん)
そのため、同市では業務によって各課をグループ分けし、セキュリティポリシーを細かく設定。なんと100以上ものグルーピングを行ない、有害サイトをブロッキングしていると言います。「各課の業務内容をひとつひとつ確認したため、設定が完了するまで1ケ月近くかかりました。でも、それはどんなソフトを導入するにしても必要なこと。以前使用していた製品のポリシーを流用しつつ、さらにきめ細かい設定を施しています。その後も申請があれば、内容を精査したうえで適宜解除しています」(川俣さん)
ブロック解除申請にも即対応、今後はログ集計をネットワーク運営に役立てたい
現在は、他社製品からの切り替えから半年が経過。「i-FILTER」の使い勝手には十分満足しているとおふたりは語ります。「国産ソフトですから、操作方法もわかりやすく安心感も抜群。市民の方から『このサイトを解除してほしい』と電話をいただいたら、リアルタイムでサイトを確認・精査し、その場でスピーディに対応できるのもありがたいです。職員からの申請にも柔軟に応じられるため、情報政策課および申請した職員双方の作業時間削減にもつながっています」(川俣さん)
業務効率向上はもちろん、職員のITリテラシー向上にも貢献する「i-FILTER」。いわき市役所では、今後ログ集計のレポート機能を活用し、よりよいネットワーク運営に役立てたいと望んでいるとのことです。
創りたい ゆたかな明日、伝えたい 誇れるいわき
昭和41年、14市町村の大同合併により誕生したいわき市は、豊かな自然と温暖な気候風土に恵まれた広域都市です。かつて石炭産業で隆盛を誇った鉱業地帯も、今では工業再配置により工業団地に変貌。国際貿易港である小名浜港、いわき湯本温泉の発展により、製造業、水産業、農林業、観光サービス業など多岐に渡る産業を展開しています。近年では駅前再開発ビル「ラトブ」と駅南口駅前広場を核としたいわき駅前再開発事業、中心市街地に新設した芸術文化交流館「アリオス」などを通じ、いわき市の魅力を全国に発信しながら交流人口の拡大により、地域経済の活性化を図っています。